ジャングル徘徊中、先ほど別れたばかりの現地の人がカマキリの卵嚢を売りに来た。
本当についさっき採って来た物らしく、卵嚢が産み付けられていた植物の茎がまだしおれていない。

その卵嚢を一目見てドキッとした。
ひょっとして…?

「これの卵嚢?」

自分は内心の緊張を押し隠して少々すっとぼけながら、ジャングルに入る前に村の入り口で買ったハラビロ系カマキリの入ってる袋を見せた。

「違う違う」

彼は首を振って、自分が腰にぶら下げていた大量の虫が入った東京都指定の巨大ゴミ袋から、メダマカレハカマキリの入った袋を取り出した。

「これのだよ」

瞬間、自分の緊張の度合いがさらに高まった。
自分はこの卵嚢が、メダマカレハでもヒシムネカレハの物でもない事を知っている。



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▲国内に持ち込む際は植物防疫の観点から、なるたけ植物の部分は削ぐべし。

というわけで、この卵嚢は持ち帰ってきたのだが、孵化するかどうかは経過観察中。
寄生虫が出てきたら焼却処分ぐらいしないといけないだろうなぁ。

☆追記☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

採集から1ヶ月少々過ぎたある日、卵嚢から大量の幼虫が孵化した。

▲多すぎ。

▲ちぎったミルワームを食べ終えた所。

この項は未知のカレハカマキリの卵嚢のつもりで引っ張っていたのだが、残念ながら孵化した幼虫は、どう見てもカレハカマキリの仲間ではない(苦笑)。

まぁ、せっかく孵化してくれたのだから、次は成虫の姿を楽しみに育ててみようと思う。
餌食いは良好で、過度の乾燥にさえ気を付けていれば飼育には特に何の問題も無さそうなので、成虫の姿も遠からず拝めるだろう。

☆追記 その2 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

▲1齢

▲2齢

▲3齢 前胸の発達が顕著になる。

▲4齢 さらに大きく張り出した前胸。自分はここで確信した。

▲一気にとばして終齢。もう間違えようが無い。

▲成虫 正解はそう、マルムネカマキリでした〜。

未知の卵嚢から産まれた謎の幼虫を育てるなんて機会は滅多に無い事なので、なかなか楽しかった。それに、マルムネは案外飼育して面白いカマキリだと気付かされたのも収穫だった。